2007 年5月15日
NPO留学協会 理事長 北 武雄
1 ふるさと税制
ふるさと税制とは、来る6月に、政府の経済財政運営の基本方針「骨太の方針」に盛り込まれる予定の寄付金税制の一部で、住民が住民税の10%程度(例えば5万円)を故郷へ寄付すれば、住民税が5万円減額される(所得控除か税額控除かは定かでない)という内容である。これは、都市と地方の格差是正の一方策として、2008年度の税制改正で実現の方向にあると聞いている。
2 米国の寄付税制と寄付文化
財務省発行のファイナンス2007年4月号19頁~22頁に、米国税理士成田元男氏の「米国の寄付税制と社会文化に関する一考察」と題する「私見」が登載された。その概要は、次のとおりである。
(1) 米国の寄付税制について史上最大級の慈善寄付(バフェット氏が195億ドル(約2兆3000億円)の寄付を実行することにより、93億5000万ドル(約1兆1000億円)の節税になる実例)を紹介する。
(2) 上記の個人が行う寄付税制は、納税者にとって寛大であり、世界に冠たる美術館やコンサートホールが輩出される礎ともなっている。
(3) 一方、米国法人税法上は、一定の項目を除いた課税所得金額10%までが、慈善寄付として所得控除できる限度に過ぎない。
(4) 他方、米国遺産税(日本の相続税に当たる)は、相続人ではなく、遺産財団が納税義務者となる点及び配偶者控除と慈善寄付金が無制限に認められている。
(5) 寄付する側の社会文化
Nobles Oblige(高貴な者が持つ高貴が故の重い責任・義務)の精神の持主は、例えば次の方々が考えられます。
① 鉄鋼王アンドリュウ・カーネギー
② 石油王ジョン・D・ロックフェラー
③ ビル・ゲイツ
④ 第41代ブシュ大統領
(6) 寄付を受ける側の社会文化
米国では、社会的に成功した者が、堂々と慈善活動を行い、コミニュティがこれを表立って賛美するという当たり前の社会還元サイクル」の感覚が確立されている。
(7) 寄付が社会において果たす役割
米国では、上記社会還元活動を行う民間団体の数は多数で、教会、図書館等が中心となって、地域住民が積極的にボランティアとして関わり、寄付を集め、自らもするという構図が特徴的である。
資本主義の市場の失敗による格差発生を国家による所得再分配ではなく、寄付という市場経済行為により是正しようという試みであり、市場に対する信任の厚さがなければ、維持し得ない体制である。
3 日本の寄付税制と寄付文化
(1) 所得税法上、「寄付金控除の対象限度額」が総所得額等の30%から40%に引き上げられました。しかしながら、これにより自発的公益活動の推進が活発化して、米国型の寄付が日本でもなされるでしょうか。ちなみに、米国所得税法上、慈善寄付控除は、原則として修正総所得の50%まで認められます。
(2) 日本では、地方公共団体や学校法人、社会福祉法人等の寄付金控
除適確団体はあるものの、税法上優遇を受けられるいわゆる認定NPO法
人は、約3万あるNPOのうち僅か56団体である。他方、米国では、税
法上の優遇を受けられる控除適確団体が自治体等に限られず、宗教、科学、
学術、教育関係等に幅広く多数にのぼっている。個別団体名は、米国内国
歳入庁(IRS)のウエブサイトに公開され、数千に及んでいます。
(3) 所得控除後の課税所得800万円の方が20万円の寄付をした場合
は、64,400円軽減されて、国税、地方税合計額で162万9600円となります。所得が高額な方は、同じ寄付金の額でも軽減されます。
(4) 資本金1億円、所得金額1億円の法人が50万円の寄付をした場合は、税額が23万1,500円軽減されて、納付税額は4,517万6,200円になります。
(5)法定相続人が一人で、1億円を相続した人が1,000万円を寄付した場合の税額は、相続税200万円が軽減されて、400万円になります。相続財産が高額な方は、同じ寄付金の額でも軽減額が大きくなります。
4 留学生に温かいご支援をお願いします(別添ホームページ参照)。
去る2月20日付で、「平成19年3月1日から同21年2月28日までの間に、個人、法人、相続人から留学協会になされた寄付金については、それぞれ減税される」旨の国税庁長官の認定を受けるという栄誉に浴しました。
当協会は、新たな気持ちで今後も頑張る所存ですので、関係各位におかれましては、上記のとおり、日米間には、寄付文化と寄付税制とに大きな違いがありますものの、これらに対すご理解が更に広がりますよう、また、内外留学生に温かいご支援を賜りますよう、皆様方の周辺に対する間接的PRと当協会へのご連絡をお願い申し上げる次第です。